当日の様子
令和7年3月4日に、市総合保健福祉センター において「令和6年度 協働のまちづくり市民講演会」を開催しました。本講演会は、一人ひとりが主体的に関わるまちづくりを考えるために開催し、イベント当日は43名の方に参加いただきました。
千葉大学大学院社会科学研究院 関谷教授による基調講演からはじまり、八街で活躍している4つの事例をそれぞれ代表者に発表していただきました。
基調講演「地域のつながりでまちづくり ~協働って何だろう~」
講師:関谷 昇 氏(千葉大学大学院社会科学研究院 教授、八街市協働のまちづくり推進員)
- 協働のまちづくりは、従来の「課題解決型」から「価値創造型」へと変化しています。地域の資源を多角的に活用し、新たな価値を生み出すことで、持続可能なまちをつくることが重要となってきています。
- 地域活動の担い手不足や、役員の負担過重、活動のマンネリ化が課題となっており、これらの問題を解決するためには、組織の枠を超えた連携が不可欠です。
- 地域のつながりが希薄になっている原因として、地域課題について住民同士が十分に話し合えていなかったり、行政と住民との相互理解が不十分であること等が挙げられます。
- 地域のつながりを活かした全国の成功事例として、市原市の「青葉台再生プロジェクト」や、香取市の「発酵をテーマとしたまちづくり」、銚子市の「地域ぐるみのローリングストック」の紹介がありました。
- 協働のまちづくりには、市民一人ひとりの積極的な参加が不可欠です。「誰かに任せる」のではなく、自ら関わる姿勢を持つこと、地域の資源を組み合わせて活用する発想、そして多様性を尊重し、地域ごとの特色を活かす視点が求められます。まずは身近なところから行動を起こし、地域の未来に責任を持ちうる新たなまちづくりを進めていくことが大切です。
事例発表(1) 「農福連携で後継者不足の農家と障がい者福祉を繋ぐ」
登壇者:橋口 卓弥 氏(生活クラブ風の村農仲舎八街 所長)
- 障がい者をはじめ老若男女が関わるユニバーサル農業を推進したい、生産農家の後継者不足と耕作放棄地の拡大するなかで地域に貢献したいと考え、「農業に福祉を取り入れる」視点から活動を開始しました。
- 障がい者が農作業に携わりながら、自立と社会参加を目指しており、20年間引きこもり生活を送っていた男性が、週1回の作業から始め、現在では契約職員として働くまでになった事例があります。
- ソーラーシェアリング(営農型発電)を導入し、農地の上部に太陽光パネルを設置することで、再生可能エネルギーの活用を進めています。
- 高齢農家の負担を軽減するため、農仲舎八街が協力し、ネギや里芋の収穫を手伝う活動を行っています。実際に、70代の農家夫婦から「力仕事が多いので助かった。今後も支援をお願いしたい」といった感謝の声が寄せられました。
- 地域住民と農業をつなぐ場として、収穫祭を実施しています。直近では1月に餅つきを開催し、農場で採れた野菜を使ったお雑煮をふるまいました。
事例発表(2)「市内高校生と企業の地域貢献活動としての開かれた子ども会」
登壇者:松原 立 氏(桜木総建株式会社代表取締役、子ども会ぷれっくす会長)
- 少子高齢化の進行や、子ども会・自治会の活動低下が、地域の活力減少につながっている現状から、地域の子どもたちが学び、成長できる場として「子ども会 ぷれっくす」を設立しました。
- 地域で育ったことに対する恩送りの精神や、地域の子どもたちの育成に関心を持ったこと、そして、子どもたちが安全に楽しく過ごせる場所を提供したいという想いから活動をしています。
- ぷれっくすでは、八街大祭の山車やスポーツ大会、農業体験、食育活動などを実施し、子どもたちが地域と関わる機会を増やす取り組みを進めています。
- 中小企業として地域社会に貢献するためには、持続可能な事業を展開しながら、地域の人々と共感・共有することが不可欠であり、今後は大学や高校、中学校などとの連携を強化したいと考えています。
事例発表(3)「“八街市全体がミュージアム”地域に広がる生徒達のアートギャラリー」
登壇者:玉造 明男 氏(八街ミュージアム代表、八街市立八街中央中学校美術科主任)
- 「八街市全体がミュージアム」という考えのもと、市内の商店街や公共施設に子どもたちの作品を展示する取り組みを行っています。
- 具体的な取り組みのひとつが、2003年に商店街からの依頼で八街中央中学校美術部が描いたシャッターの絵です。このことがきっかけとなり、地域の方々との交流が生まれました。
- 商店街や地域の企業とも連携し、八街市内の全小中学校12校の子どもたちの作品を商店街に展示する取り組みや、「すし銚子丸」とコラボして美術部の生徒が制作した絵を店内に飾る取り組みをしています。
- 美術部の生徒たちがデザインしたストリートピアノを、八街駅や市内の商業施設、イベント会場に設置しています。2021年に登場した「ひまわりピアノ」をはじめ、「未来ピアノ」や「組子DEピアノ」など、いくつものピアノが作られ、地域の人々に親しまれています。
- 美術館がない八街市だからこそ、まち全体を美術館にすることで、地域の人々がアートを身近に感じられるようにという想いで活動しています。
事例発表(4)「全国区のつながりを活かした『八街!激うま!ラーメン祭』の開催」
登壇者:荒木 大輔 氏(八街商工会議所青年部 会長)
- 八街商工会議所青年部として活動していたとき、日本一大好きなラーメンとの再会から、ラーメンイベントをいつか八街で開催したいと考えるようになりました。
- そこで、つながりがあったイベント企画会社や全国のラーメン店の協力のもとで「八街!激うま!ラーメン祭」を開催することができ、年々規模を大きくしており、2024年には約90,000人の方が来場しました。
- ラーメン祭の開催は、電車利用者の増加や駅周辺の飲食店や落花生小売店などの利用者増加につながり、特産品のPRにつながっています。
- これからは、八街のラーメン祭をさらに進化させ、地域の活性化につなげていきたいと考えています。
- 今年は、店舗に投票し順位を決める「八街!激うま!ラーメングランプリ」としてさらに進化させ、八街市をより一層盛り上げていきます。


参加者アンケートの結果
【ダウンロード】令和6年度 協働のまちづくり市民講演会 参加者アンケート [PDFファイル/2.32MB]
イベント概要
「協働って何だろう?」という問いからスタートして、理論と実践事例から学び 、行動へつながる一歩に続くヒントを見つけてみましょう!
プログラム
・基調講演「地域のつながりでまちづくり ~協働って何だろう~」
講師:千葉大学大学院社会科学研究院 関谷 昇 教授
・八街で活躍している活動の事例発表(4団体)
・事例発表者によるトークセッション
・交流会
講師等の出演者の情報はこちら
日時
令和7年2月15日(土)午後2時から4時30分まで
場所
八街市総合保健福祉センター 3階 大会議室
対象者
・協働のまちづくり活動に興味・関心のある方
・八街を舞台にまちづくり活動を行いたい方
募集人数
60名(先着順)
参加費
無料
チラシ
【ダウンロード】令和6年度協働のまちづくり市民講演会チラシ [PDFファイル/1.2MB]
その他
令和6年度協働のまちづくり市民講演会は、「ちば県民活動PR月間2024 賛同行事<外部リンク>」として実施しました。
基調講演
関谷 昇 氏(千葉大学大学院社会科学研究院 教授)
専門は西欧の政治思想史。千葉県内の多数の自治体において、市民参加・協働・自治をめぐる条例や制度づくりなどに携わるとともに、講演・講座・研修・各種勉強会などを通じて、協働のまちづくりへ向けた積極的な提言を幅広くおこなっている。千葉テレビの報道番組にもコメンテーターとして出演中。

事例発表
農仲舎八街
農福連携で後継者不足の農家と障がい者福祉を繋ぐ

八街子ども会 ぷれっくす
市内高校生と企業の地域貢献活動としての開かれた子ども会

八街ミュージアム
”八街市全体がミュージアム”地域に広がる生徒達のアートギャラリー

八街商工会議所青年部
全国区のつながりを活かした「八街!激うま!ラーメン祭」の開催

<外部リンク>
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)