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台風第14号の接近に伴う農作物等の技術対策について

印刷用ページを表示する更新日:2021年9月17日更新 <外部リンク>

 台風第14号の接近に伴い、大雨や強風が懸念されます。また、台風の通過後は高温となる可能性がありますので、併せて注意が必要です。

 千葉県担い手支援課から、以下のとおり技術資料が提供されましたので、気象現象による農作物被害を防止するため、事前・事後対策の参考にして下さい。

台風第14号の接近に伴う農作物等の技術対策について

令和3年9月16日   
農林水産部担い手支援課

 台風第14号が日本に接近しております。17日(金)には温帯低気圧に変わる見込みですが、前線が付近にあることから、大雨や強風が懸念されます。また、19日(日)以降は、高温(5日間平均気温平年差+2.5℃以上)となる可能性がありますので、併せて注意が必要です。
 ついては、次の事項を参考に、技術対策について指導をお願いします。

(塩害・潮害対策)

 海岸に近い場所などでは、塩害回避のため事前に真水を準備しておき、降雨後に潮風が吹いた場合は、動力噴霧機等で出来るだけ速やかに大量の水を散布し、葉に付着した塩分を洗い流しましょう。

1 施設等

事前対策
(1)ハウス周辺に置いてある物は片付けるか、飛ばされないように固定する。
(2)出入口、天窓、側窓はきちんと閉め、固定する。
(3)ハウスバンド、被覆資材の留め具、ボルトは緩みがないようにしっかり締める。被覆資材がたるんでいると、強風でバタつき、破れやすくなるため、たるみや破れはすぐに直す。
(4)施設周辺の排水溝のゴミを片付ける。
(5)換気扇があれば吸入口を閉め、換気扇を回す。ハウス内の圧力を下げると、フィルムがハウス内に引き付けられ、フィルムのバタつきを軽減できる。
(6)台風後にすぐ応急処置ができるよう、補修用資材と工具を準備しておく。
(7)台風通過後すぐに作物を洗い流せるよう、貯水タンクや動噴の準備をしておく。

※事前対策には「千葉県農業用ハウス災害被害防止チェックシート集」の活用が有効です。チェックシート集は千葉県のホームページで閲覧・ダウンロードできます。

○「千葉県農業用ハウス災害被害防止マニュアル」「千葉県農業用ハウス災害被害防止チェックシート集」について(千葉県ホームページ)<外部リンク>

事後対策
(1)破損した場合は、速やかに補修を行う。
(2)施設周辺が湛水している場合は、速やかに排水溝を掘り、排水に努める。
(3)ハウス内に雨水が流入した場合は、できるだけ速やかに排水し、水が引いた後に、ベッドを整形するとともに中耕する。
(4)ハウス内への雨水流入等による多湿条件下では病気が発生しやすくなるので、防除指針に従い殺菌剤を散布する。根の活性が落ちるなど、薬害が発生しやすい状態にあるので、希釈倍率を適用範囲内の薄い濃度としたり、日中高温時の散布を避けて早朝に散布するなど、注意する。
(5)台風後は高温が続くことが予想されているため、ハウス内の温度・水分管理に注意する。特に曇天後の強日射によるしおれを防ぐため、こまめなかん水と、必要に応じて遮光を行う。

2 露地野菜

事前対策
(1)排水の悪いほ場では、あらかじめ排水溝等の整備をして、冠水や滞水に備える。
(2)ネギ、果菜・葉菜類など茎葉の被害により大きな減収や品質低下が予想される野菜では、
 ア あらかじめ土寄せを行う。また、畝の両サイドに支柱を立ててひもを張り、倒伏防止を図る。
 イ 支柱強度や結束部分の確認をして弱い部分は補強をする。
 ウ 防風網や不織布などでべたがけをして茎葉や果実の傷みを防ぐ(資材が飛ばされないように注意し、台風通過後は速やかにはがす)。
(3)キャベツ、ブロッコリー等の苗や葉物類及びダイコンは、通気性の良い寒冷紗や不織布をべたがけした上で、浮き上がらないようしっかりと杭止めし、はがれないようにする。

事後対策
(1)速やかにほ場の排水を図る。
(2)栽培中の作物には、防除指針に従い、殺菌剤を散布し、病気の予防に努める。根の活性が落ちるなど、薬害が発生しやすい状態にあるので、希釈倍率を適用範囲内の薄い濃度としたり、日中高温時の散布を避けて早朝に散布するなど、注意する。
(3)栽培中の作物では、土壌の表面が乾いてきたら、追肥用化成などを用いて追肥を行い、軽く中耕を行うことにより、生育の回復を促す。
(4)ネギが倒伏した場合は、丁寧に起こす。
(5)コカブ・コマツナ等で発芽前の種子が流されたり、発芽直後で損傷の激しい場合は、速やかにまき直しを行う。
(6)冠水したほ場のサツマイモは、掘り上げた後、軒下等に仮置きし、腐敗や傷みがないか確認してから出荷する。

3 果樹

事前対策
(1)果樹全般
 ア 支柱の取り付けと補強を行う。主幹には、竹や丸太などで三方から支柱を取りつける。
 イ 主枝、亜主枝、側枝についても枝折れを防止するため支柱を取りつける。特にミカン、カキなど着果している場合は果実の重さで枝が折れたり裂けやすいため出来る限り支柱などで固定する。
 ウ 多目的防災網を設置してある園では、押え紐や控え紐(網が風で飛ばされないように、所々に網から引いてある紐)の補強を行う。
 エ 水田等排水の悪い園では、滞水しないようはけ口をつくっておく。
 オ 潮風害に備えて事前に洗浄用の真水をタンク等に確保しておく。
(2)ナシ(ブドウなどの棚仕立ての樹種もこれに準ずる。)
 ア 多目的防災網の設置の有無にかかわらず、棚が上下して果実が落下するのを防ぐため、棚の所々に振れ止めを設置する(事前にブロック、肥料袋に土を入れる、らせん杭等の棚を固定する道具を園内に準備しておく。)。
棚から針金などたらし、重石をつけて棚が振れないようにする。
設置場所は樹と樹の間など揺れやすい箇所に重点的に設置する。
 イ 収穫が終わった園は早急に多目的防災網を片付ける。
 ウ 防風垣、防風網の補強整備をする。
 エ 主枝、亜主枝、側枝を棚へ結束する。
 オ 排水条件の悪い園では滞水しないよう整備する。

事後対策
(1)果樹全般
 ア 樹が倒伏したものは、無理のない範囲で徐々に起こし、土寄せして支柱を立てる。
 イ 園の排水に心がけ、滞水した場合は速やかに排水を図る。
 ウ 多目的防災網の防風ネットが破損した園では、ただちに修理し、次の災害に備える。
 エ 収穫期を控えた果樹に農薬散布を実施する場合は、特に収穫前使用日数に注意する。
(2)ナシ
 ア 葉の損傷の激しい園では、防除指針に従い台風通過後、できるだけ早く殺菌剤を散布する。
 イ 落果した果実は早めに処分する。
 ウ 枝折れが発生した場合、その基部から切除し、切り口に保護剤等を塗布する。
(3)イチジク、キウイフル-ツ、ブドウなど
 ア 葉の損傷の激しい園では、防除指針に従い殺菌剤を散布し、病害感染を予防し、葉を健全に保つようにする。特にイチジクの疫病、キウイフルーツのかいよう病の発生の恐れがあるので注意する。
 イ 傷害果等は早急に園外に持出し処分する。
(4)ビワ
 ア 樹が倒伏したものは根が乾燥しないうちに無理のない範囲で徐々に起こし、土寄せし支柱を立てる。
 イ 枝の折れたところはきれいに切り直し、切り口には保護剤等を塗布する。
(5)ミカン、中晩かん類
 ア 落葉があった樹は、被害の程度に応じて摘果により着果量を減らす。
 イ 強い風雨により褐色腐敗病やかいよう病などの発生の恐れがあるので防除指針に従い、収穫前日数に注意して防除する。

4 花き

事前対策(露地花き)
(1)排水の悪いほ場では、あらかじめ排水溝等の整備をして、冠水や滞水に備える。
(2)支柱の打ち増しやフラワーネットの点検・補強を行う。
(3)小ぎく・アスター・けいとう・ひまわりなど、茎葉の被害により大きな減収や品質低下が予想される花きでは、防風ネットを張る。

事後対策
(1)施設栽培では、台風直後の強光、高温による日焼け症(葉焼け、芽焼け)を生じやすいため、適切な遮光、かん水により予防に努める。
(2)破損被害を受けた温室内に生育途中の作物がある場合、天候の回復に合わせて遮光を行い、ダメージを軽減するとともに、病害予防のため薬剤防除を行う。
(3)風により折れた枝や株は整理し、倒伏した切り花類は枝の曲がらないうちに無理のない範囲で早く立て直し土寄せする。
(4)数時間滞水した苗物や鉢物は、その後乾燥ぎみに管理する。また、多湿により病気が発生しやすくなるので、防除指針に従い殺菌剤を散布する。
(5)育苗中のものや定植直後のもので冠水被害を受けた場合、速やかに汚れを洗い流し、回復に努める。なお、回復の見込みがない場合は、除去し、苗があれば定植し直すか、再度播種準備を行う。

5 水稲

事前対策
(1)排水路の詰まりの点検・補修を行い、冠水や滞水に備える。
(2)収穫の終わった水田では、大雨や強風で稲わらの吹き寄せや用排水路に流出することがあるため、事前に稲わらのすき込みを行う。
(3)台風の被害状況より停電が発生し乾燥調製施設等が稼働できない場合があるので、台風前に乾燥調製作業を完了するか、台風後まで収穫を控え乾燥施設等の稼働を確認してから収穫を再開する。

事後対策
(1)倒伏、冠水による穂発芽を防止するため、早期に排水を図る。
(2)収穫時期に達した品種のうち、倒伏した稲は、穂発芽等が懸念されるため、早めに収穫するよう努める。
(3)穂が長時間浸水したほ場の稲は、他ほ場の稲とは区別して収穫、乾燥し、全体の品質を下げないようにする。
(4)倒伏・冠水等の被害による減収は農作物共済の対象となることから、収穫前に農業共済組合に被害申告を行い、損害評価を受ける。
(5)収穫を始める前に水田内の飛来物がないか安全をよく確認してから実施する。

6 大豆

事前対策
(1)冠水や滞水による湿害を回避するため、水田転換畑等では、排水溝を確実に排水路につなげる事や、必要に応じて畦畔を切る等で万全の排水対策を行う。
(2)播種が遅れた圃場では、倒伏による減収の影響が大きい着莢期から粒肥大初期にあたるため、畝の両サイドに支柱を立ててひもを張る等、倒伏防止を図る。


事後対策
(1)茎葉の損傷や滞水による植物体の衰弱により、紫斑病や葉焼病などの病害が発生しやすくなっているので、防除指針に従い殺菌剤を散布して病気の予防に努める。

7 落花生

事前対策
(1)栽培中及び乾燥中ともに冠水・滞水しないように排水路を整備する。
(2)島立て(地干し)中の株は、施設内に取り入れるなど風による飛散を防ぐ。好天で3日程度干して乾いていれば、野積み(ぼっち)して風対策を行う。
(3)野積み(ぼっち)やトンネル乾燥は、滞水する場所を避け、風で飛ばされないように厳重に固定する。


事後対策
(1)収穫までまだ期間がある場合、台風後に黒渋病が発生しやすいので、よく観察し、必要に応じて防除指針に従い殺菌剤を散布する。

8 畜産

(1)畜舎及び家畜
 ア 排水路の詰まりの点検・補修を行い、冠水や滞水に備える。
 イ 停電発生に備え、発電機・燃料等の準備と動作の確認、手配方法を検討しておく。
 ウ 天候が回復した後、直ちに畜産施設内及びその周辺の排水に努める。また、土砂が流入した場合には、再度の土砂流入等の事故に十分注意しつつ、土砂を除去するよう努める。
 エ 畜舎、牧柵、防鳥ネット等の施設に破損、汚損がないか確認し、必要に応じて補修、洗浄、消毒を行うよう努める。飲水に適した水の給与や飼養家畜の健康観察など、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)に基づく飼養衛生管理基準に沿った衛生管理を徹底し、家畜の伝染性疾病の発生予防措置を講じるよう努める。
 オ 倒伏の影響等により、品質が低下した飼料を給与する場合は、栄養価、嗜好性等にも配慮し、家畜の生産性が低下することのないように注意する。
 カ 保管している飼料が冠水等の被害を受けた場合には、当該飼料の家畜への給与は中止する。

(2)飼料作物及び稲わら
 ア 冠水や浸水等の被害を受けたほ場においては、速やかな排水に努めること。
 イ 収穫期にある飼料作物は、天候の回復後に収穫を行うよう努め、トウモロコシ等の長大作物が倒伏した場合は、品質低下を防ぐため、天候の回復後、速やかに収穫を行うよう努める。
 ウ 今後収穫作業を迎えるWCS用稲については、排水対策を徹底し、大型収穫機による作業に備え田面を固めるとともに、植物体の水分率をできる限り低下させ、品質低下防止に努める。
 エ 稲わらの収穫を行う場合は

天候の回復後、乾燥させた後、土汚れ等が無いことを確認した上で飼料に用いるよう努める。

参考資料

○台風第14号の接近に伴う農作物等の技術対策について [PDFファイル/276KB]

○千葉県農業用ハウス災害被害防止マニュアル [PDFファイル/12.27MB]

 ※ ファイルサイズが大きいので、PC等にダウンロードして御覧ください。

○千葉県農業用ハウス災害被害防止チェックシート集 [PDFファイル/662KB]

 

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